前回のブログ「UFOキャッチャーの思い出 その1」の続編です
生産から輸入まで
いよいよ「くまのプーさんカトラリーセット」の生産が始まりました。この時は40フィートコンテナ数本だったかと思います。
生産から船積みまで2ヶ月、タイ側での通関後、日本までの航海に7〜12日、日本での通関に5日、セガの倉庫まで1日、全て順調に進んでの場合です。ただまあ、実際にはいろんなことが起こります。生産の遅れ、台風による遅延、配送トラックの故障などなど盛り沢山です。
「海に浮かぶ中型コンテナ船の1日」→お時間のある方はどうぞ。なかなか面白い動画ですよ。
見たくない現実
写真も添付されています。これらはすべて不合格品なんです。
版権表示やデザインのカスレが原因です。ただゴムの木を削って作っているので表面が完全なフラットではないので、どうしてもこの様な製品ができてしまうのですが、あまりに不良品が多いと工場としても困るわけです。
私の最大の失敗は、間に合わないかもしれないという現実に向き合うことができなかったことです。メーカーに報告書のことを伝え生産計画通り進めるよう依頼、Msチトラにもその旨伝え、一層の生産管理を依頼したのですが、本当はこの時点でタイの工場に行くべきだったのです。
二度目の警告から工場の変更
さらに2週間が過ぎ、今度はもっと確定的な納期遅延の報告とMsチトラから直接電話が入り工場の変更を検討すべきとのこと。ここに至ってはもう現地に向かうしかありません。
現地工場にMsチトラと検品責任者と入り確認後、工場側とミーティングしましたが状況は変わりません。ホテルに戻ってからMsチトラと工場変更の打ち合わせをしました。本当にラッキーだったのは、製品仕様の説明をゼロからしなくて済んだことです。
ただ問題もあって、新しい工場に200万円以上の材料費をすぐに支払う必要があったことです。こちらにも資金繰りもあるし、日本に戻って調整するしかないのですが、すぐには帰国できないし、それでは生産計画に支障が出ます。
「うーん、困ったなぁ・・・」
すると私が空港で借りた携帯に、Msチトラから報告を受けたMrスヴェンソンから連絡が入りました。
「曺さん、お金はこちらが立て替えるので、話を進めてください」
その時は、もうラッキー!!助かりましたぁ!!ありがとう!!だったのですが、よくよく考えてみれば、2回しか会ったことのない、しかも実態がわからない海外の相手先にお金を建て替えると言うのは、普通ではありません。建て替えてもらった費用は日本に戻り、すぐに送金しました。
航空輸送費600万円!
そこからもバタバタしました。結局最初の工場の製品はエアーカーゴで運ぶしかなく、その費用は確か600万円。ただこちらも運が良かったのは、折からの円高で為替差益で航空運賃をほぼカバーできたことです。今思うと運の良すぎることばかりだったんだなぁと思います。
この航空運賃にしても一括の支払いではなく、当時メインで通関を委託していた住友倉庫が二つ返事(4つ返事かな(笑)で分割での支払いに応じてくれました。何から何まで人に恵まれていたんだなぁ、今になって実感しています。
今年のお正月に義理の妹の家で見つけたサラダボールを見ていろんな思いが浮かんできました。初めはイヤな思い出話のつもりで書き始めましたが、結局この仕事はして良かったんだなぁとしみじみ感じています。