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スタッフ星山

蝶々夫人の悲劇について No.612

皆様、プッチーニの【蝶々夫人】をご存じでしょうか?知っているようで、知らないオペラ、、、先日オペラ【蝶々夫人】を鑑賞してきました!

【蝶々夫人】世界的に超有名なオペラのうちの一つです。タイトルは可憐な印象ですが、

中身は涙涙の残酷なストーリーでした。

ストーリーは、日本の明治後半の長崎が舞台で、ヒロインは、芸者の蝶々さん。

なんと年齢は15歳です!まだ子供!!

この時代、アメリカ人男性が周旋業者に一定の金額を支払って期間限定にて日本女性を妻代わりとする、契約結婚、つまり結婚キャンペーンが流行っていたのですが、
主人公の蝶々はアメリカの海軍士官ピンカートンと結婚することに。純粋無垢な彼女は、もうドキドキと胸をときめかせながら彼の家に向かいました!

ですが、皆さんお察しのように、これは本当の結婚ではありませんでした。。。

第一幕 かりそめの結婚【夕闇が訪れた】

アメリカの海軍士官ピンカートンは、蝶々の到着を待ちながら友人の長崎領事であるシャープレスと祝杯をあげるときにも、

「世界の全ての土地の花と、全ての美しい女の愛を、自分の宝にしなければ満足できない」

そして「私が本当に結婚する日とアメリカの花嫁のために」などと乾杯して祝う始末です。

シャープレスはピンカートンの軽薄で傲慢な態度に対し、「蝶々は真剣な愛を求めているが」と一応忠告はします。

・・・・・当時の日本のアメリカ人居留地ではそうした風習が当たり前であり、違法でもなく罪には問われなかったとのこと。。。
今でしたら考えられないですね!女性の敵です!!

ところが、真っすぐで純粋な蝶々は、このピンカートンとの結婚を真実の愛と受け止めてしまいます。。。ここが悲劇の根源です。。。

さて、結婚式の準備が着々と進み、蝶々は結婚式前日にキリスト教に改宗もしました。

祝宴に入ったとき、蝶々の叔父ボンゾが現れ、蝶々さんのキリスト教への改宗を怒ります。
「蝶々は家の宗教を捨て、アメリカの異宗教に改宗した裏切り者だ!」会場のお祝いムードにピシっとヒビが入ります。

叔父の剣幕に対し、傷つき悲しむ蝶々をピンカートンがやさしく抱きしめながら慰め、二人が愛の二重唱【夕闇が訪れた】を素敵なムードで歌います。

 

「初めてお目にかかった時からあなたが好きでした…私に幸せをください… 生涯をかけて。」(二重唱:「夕闇が訪れた」)

 

ここまでが「第一幕」です。

第二幕 待てど暮らせど帰ってこない夫 【ある晴れた日に】

第二幕は第一幕の結婚式から三年後の蝶々の家からのスタートです。

ピンカートンはアメリカに帰国して以来姿を現さず、蝶々は彼の帰国後に生まれた子供、忠実な女中のスズキの3人で健気に〝夫〟の帰宅を待ち続けています。

ピンカートンが日本を離れてから三年、家のお金も残り僅か。家計は決して楽ではありませんでした。

女中のスズキは、「アメリカ人男性が日本人女性との結婚の末帰らないのはよくあること。」と疑いますが、蝶々だけはそんな状況でも夫を愛し信じて待っています。

「そんなことはない、きっと夫は帰ってくる」と気丈にふるまう切なさが描写されながらも夢と希望を抱きながら蝶々夫人が歌うアリアが、

皆さんがご存じの、あの「ある晴れた日に」です!

「見える?彼が来るわ でも私は迎えにいかない あの丘のふもとで あの人を待つ 長いこと どんなに長くても辛くないわ

私は返事をせずに隠れるの 半分は冗談で… もう半分は会えた嬉しさで死んでしまわないようにすると彼は少し心配になって叫ぶの

きっとそうなるわ あなたに約束できる だから不安にならないで 私は信じて彼を待つわ」(アリア:「ある晴れた日に」)

そこへ、長崎領事のシャープレスがピンカートンの蝶々への手紙を携えてきました。手紙の中身は「自分はアメリカで既に本当の結婚をした。」という、

つまり蝶々との離縁状です。ガーーーーン!!!(;´Д`)

しかし蝶々は英語が分からない為、手紙の内容は自分に対する愛の手紙と思い込み、とんではねて喜びます。真面目なシャープレスは、彼女の喜び輝く姿を見て、なんと哀れ、、、何も言えなくなってしまいます。

シャープレスに続き、結婚周旋人のゴローが「ピンカートンのことは諦め金持ちのヤマドリと再婚したら?」と、次の〝結婚〟相手として連れてきました。

「私にはれっきとした夫がいます!」ときっぱり拒絶する蝶々は、さらに奥から子供を連れてきて彼らに示しました。
「この子は私とアメリカの海軍士官ピンカートンとの子供です!」

驚いたシャープレス!!ピンカートンが帰ってこなければどうするのか、と蝶々に問いますが、

「唄で人々を楽しませる生活に戻るか、死ぬしかない。子どものために不名誉な芸者をするより、死を選ぶわ」と彼女は叫びます。

 

そうこうしていると、ついに港に空砲が轟き、ピンカートンを乗せた船が長崎に入港してきました。

船名は「エイブラハム・リンカーン」。望遠鏡で船を見つけた蝶々さんは躍り上がって喜びます!!

「私の愛が勝った!
あの方は帰ってくる、私を愛しているんだわ」

 

蝶々はスズキと舞い上がりながら共に家中を花でヒラヒラと飾ります。(二重唱:「桜の枝を揺さぶって」)

そしてピンカートンの帰りを一晩中寝ないで待ちました。そしてピンカートンが帰らぬまま、夜が明けてしまいます。

このあたりでただただ、憐み。。。。

第三幕 愛と裏切り【さらば愛の巣】

朝になり、寝不足でへとへとの蝶々夫人。女中のスズキより一旦休むよう言われ、仮眠を取ります。

するとピンカートンがやってきて、こっそり女中のスズキだけを呼び出し、ピンカートンがアメリカでアメリカ女性と結婚したという恐るべき事実を告げました。「子供を渡すよう、おまえから蝶々さんを説得して欲しい!」

ピンカートンは、卑怯にも自分から蝶々に告げず、

足早にピューー!!と逃げ去ります。。。(アリア:「さらば愛の巣」)

「スズキ!!スズキ!!!」人の気配に気づき、蝶々が飛び出してくると、

そこにピンカートンの姿はなく、庭の隅に見知らぬアメリカ人女性が立っていました。

そう、ピンカートンのアメリカ人妻のケイトでした。あわわわわわわ。。。。

 

彼女はすべてを悟り子供の引き渡しを承知。30分後にきて欲しいと女性を去らせ、
父の形見の短刀を取り出して、その銘を声に出して読みます。

「名誉を持って生きられぬ者は、名誉を持って死ぬ・・・・・」(アリア:「さよなら坊や」)

「ママ、ママ!!」と走り寄ってきた子供を抱きしめ、悲痛なアリアを歌った後、彼女は自ら命を絶ちました。

自分の運命に絶望したのもありますが、

子供に「自分は母親に捨てられた」と思わせない為の自殺でした。

 

以上がプッチーニのオペラ【蝶々夫人】です。

ピンカートンが許せまじ(笑)

まず歌と演技がもう迫力と悲しみ憐みに溢れ、本当に素晴らしかったのですが、

本物の素晴らしさだからこそ、個人的な感情移入も凄まじく(笑)

素晴らしいオペラ鑑賞のはずが、心情はズ~~ンと重たい調子でした。。。

ピンカートンが許せないです。騙し騙されだけならまだしも、最後の最後で子供まで奪うとは、、、

もう四谷怪談のお岩さんを召喚し、大陸を超えて末代まで呪いたくなりました!!(笑)

 

それにしても、
プッチーニの【蝶々夫人】。

内容とは別にして。本当~によく当時の日本人女性の気質から日本独特の音階まで勉強されたんだなあ、と、私はそこにも俊逸さを感じざるを得ませんでした。

日本人女性のひたむきに待ち続ける愛の深さと純真さ、日本独特の誇りの高さに、胸を揺さぶられました。

他人から聞いた話によりますと、【蝶々夫人】の音楽には、〈お江戸日本橋〉〈さくらさくら〉などの計8曲もの日本音楽の旋律が盛り込まれ、欧米の人たちにとっては、異国情緒を感じさせる巧みな作品になっています。

 

前半から途中まで少しネガティブな感想になってしまいましたが、、、

是非皆様、【蝶々夫人】オペラ曲だけでも良いので音楽を楽しまれてみてはいかがでしょうか。

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