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私たちのこと

エンジェル•フライト 国際霊柩送還士 No.737

国際霊柩送還士という仕事

『みんな日本で亡くなった遺体の状態を想像するでしょう?でも、全然違うんだよ。海外から来た遺体は想像を超える。病院に入院していて死ぬのとわけが違うんだ。ただ亡くなっただけじゃない。亡くなった後の変わり方が違うんだ』(「エンジェル・フライト 国際霊柩送還士」)

※以下『』内は全て同著からの引用です。

知り合いに勧められて、アマゾンプライムで米倉涼子主演のドラマ「エンジェル・フライト」を見ました。とっても面白かったです!

原作は「エンジェル・フライト 国際霊柩送還士」、第10回開高 健ノンフィクション賞を受賞した秀作で、こちらもその知り合いから本を借りてつい最近読み終えました。

僕の読書タイムは通勤途中の電車の中なんですが、久しぶりに涙が止まらなくなって困ってしまいました。

「国際霊柩送還士」という名称は、エアハース・インターナショナル株式会社の登録商標で、同社の仕事は海外で亡くなった方のご遺体を日本で引き受け、適切な処置を施してご遺族の元に帰すことなのですが、海外とのやりとりが絡むので本当はもっと煩雑で大変な業務です。また日本で亡くなった海外の方を送り返すのも同社の仕事です。この事業モデルを確立したのも同社が初めてとのことでした。

代表の木村利恵氏が扱った案件はどれも新聞やニュースで見た記憶がありました。

  • ネパールで遭難した邦人トレッカー
  • エジプト・ルクソール事件のテロによる犠牲者
  • パキスタンでの車両転落事故の被害者
  • 在イラク大使館員襲撃事件の犠牲者
  • スマトラ沖地震
  • ミャンマーでの軍によるフリージャーナリスト殺害事件
  • アフガニスタンでの国際援助団体職員殺害事件

新聞に載るような重大事件や事故の裏では必ずと言っていいほど彼らの働きがあるそうです。

 

整えるということ

『みんな日本で亡くなった遺体の状態を想像するでしょう?でも、全然違うんだよ。海外から来た遺体は想像を超える。病院に入院していて死ぬのとわけが違うんだ。ただ亡くなっただけじゃない。亡くなった後の変わり方が違うんだ』

冒頭で引用した本の中の一節です。

ただご遺体を引き取るだけではなく、無残な状態(特に事件や事故の場合)で送還されてきたご遺体をご遺族や葬儀に参列される人たちがご挨拶できる状態に丁寧に丁寧に整えるも同社の大切な仕事の一部です。

『処置をしている姿は何かに憑かれているようだというのだ。彼の手にかかれば生きている時についていなかった傷は完璧といっていいほどにきれいに隠れた』

『処置を施された遺体は、みるみるうちに血色の良い自然な顔色に戻り、わずかに微笑をたたえた唇は、今にも何かをしゃべり出しそうに見えた』

死者ときちんとお別れできるということは、やがて悲しみから立ち直り新しい一歩を踏み出すためにとても重要なことなんだそうです。

きちんとお別れできるようにする、その瞬間のため、一心不乱に、丁寧に、ご遺族の思いに寄り添い、少しでもきれいにするために工夫に工夫を重ねて、どんな状態であっても何とかする、その気持ちが行間からひしひしと伝わってきました。

 

私たちの仕事と通じること

『この仕事は誰でもできる仕事ではありません。熱意を持って処置にあたることのできる人も数は限られているでしょう。ご遺族に喜んでいただけると思うとやりがいもあるし、ご遺体の処置がうまくできるとすごく嬉しいです。』

読んでいて、ふとコーティングの施工をする代理店の人たちや傷んだ床を補修する人たちのことが思い浮かびました。

丁寧に、少しでもきれいにするために現場で工夫に工夫を重ねて、どんな状態であっても何とかしようとする気持ちが似ているからです。一心不乱〜そんな言葉がピッタリきます。作業している人の顔を見ると「きれいになーれ、きれいになーれ」とおまじないを唱えながら作業している錯覚に囚われます。

補修にしても施工にしても、現場では難易度の差こそあれ、単純な作業は一つもありません。築年数が経ったお住まいはもちろん、新築であってもその日の気温や湿度、床の状態で作業は全く違う内容になります。

【補修】

木目を筆で描いています

こちらは補修後、UVコーティング施工までしています

【下地処理作業】

UVコーティングの施工工程の中で、最も大変な作業です。特に築年数が経てば経つほど非常に難しい作業となります。また長年にわたってワックスがかかっていると剥離するだけで1日かかる場合も。

重度の剥離作業の場合、たった1日で手は荒れ放題、新品の作業ズボンもご覧の通りです・・・・。

剥離前

剥離後

UVコーティング後

 

お客様には補修も施工作業も見えません。作業の結果だけをご覧いただく訳ですが、この写真をご覧頂くと感動する理由がお分かりいただけると思います。

 

 

7000分の1の出会い

コーティングの営業担当から始まり、今はアフター担当の「カスタマー・ライフバリュー・サポートデスク」の責任者として仕事をしています。

少し長い部署名ですが、「お客様の•価値ある生活•をサポート」することが私たちの仕事です。

営業職もそうでしたが、お客様に心から喜んでいただける、お客様を笑顔にできるこの仕事は自分に合っていると思います。この仕事に出会えるなんて、自分は本当に運が良かった、そう思っていました。

でもそうではなかったんです。

前職を辞した後、次の仕事探しをしていた時のことです。基本、暇な訳ですからそれまでの名刺を整理しつつ何かのご縁を探したりするのですが、いつの間にか思い出に浸ったりします。昔の写真の整理と同じですね(笑)

当時、こんな名刺箱が10ケースほどありました。1ケースに700枚近く入るので、7000枚近い名刺があったことになります。

名刺の整理を始めて何日か過ぎた頃、一枚の名刺が見つかりました。

「スペース・ジャップ」

エコテラスグループ代表の星山が40年近く前の二十代の頃に経営していた生活雑貨のお店の名刺です。星山代表と私は親戚なのですが、最後に会ったのは20年以上前。お店に行ったのはもっと前でしたから、よくも名刺が残っていたものです。しかも7000枚の名刺の中からたった一枚が見つかるなんて!!

この名刺がきっかけとなり、12年前に今の職場で働くようになりました。

 

Calling

『calling(召命・天職)という言葉がある。本当に自分に向いた仕事には「呼ばれる」のだ』

今までの長い職歴の中で、心から好きだった仕事はありませんでした。いろいろな状況の中でせざるを得なかった仕事、というのが本当のところです。

今、それまで好きではなかった様々な仕事で積んだ経験が、お客様に喜んで頂けるコーティングの仕事に携わることで、それまでに積んだ経験全てが一つにつながり、活かされるようになりました。

自分は今の仕事に出会えて運が良かったと書きましたが、「エンジェル・フライト」のこの一文を読んで、ああ、そうではなかったんだ。これまでの30年間の仕事の全ての経験は今の仕事のためにあったんだ。この仕事に呼ばれたんだ。そう思いました。

 

追伸

海外旅行に行かれる方、空港で保険に入ったほうが絶対にいいですよ〜

 

 

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